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健康アドバイス02

CKD:Chronic Kidney Disease(慢性腎臓病)

腎臓の働き

腎臓は、そら豆のような形をした大人の握りこぶし大の臓器で、腰のやや上に背骨をはさんで左右一つずつあります。働きとしては、血圧を調整したり、尿を作り老廃物を排出したり、血液を作ったり、ビタミンDを活性化して骨を丈夫にしたりとさまざまな働きをします。この中でも特に重要な働きが、体内を流れる血液を糸球体(細い血管の集まり)でろ過してきれいにし、取り除いた老廃物を尿と一緒に排泄する事です。

CKDとは?

CKD(慢性腎臓病)とは、あまり自覚症状のないままに腎臓の働きが徐々に低下していく病気です。肥満、運動不足、飲酒、喫煙、ストレスなどの生活習慣や高血圧症、糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドローム、加齢、慢性糸球体腎炎などが原因であると言われています。

CKDの定義としては、

  1. 腎障害
    蛋白尿、血尿が出ている。→尿検査で分かります。
  2. 腎機能の低下
    腎臓が老廃物を排出する働き(GFR)が60%未満に低下している。→血液検査の血清クレアチニン値からわかります。
    上記の様な状態の一方、または両方が3カ月以上続く場合をCKD(慢性腎臓病)といいます。

CKDの現状

現在、日本には約1,300万人(成人の約8人に1人)のCKD患者さんがいると言われています。また、人工透析を受けている患者さんも、毎年1万人ずつ増えていて現在32万人以上います。さらに、CKDがあると、命に直接関係する心臓病や脳卒中などの心血管疾患にもなりやすいことが明らかになっており、いかにCKDを治療し、心血管疾患を予防するかということも大きな問題となっています。ただ、CKDは正しい治療によって進行を抑えることが可能で、慢性腎炎や糖尿病腎症では、早期発見によって治療できることも分かってきました。

早期発見のために

CKDの早期発見には、腎機能をチェックすることが重要です。
尿検査(腎の障害の程度をチェック)→尿中の蛋白質の濃度や尿異常を調べる。
血液検査(腎の働きをチェック)→蛋白質が筋肉で分解されてできる老廃物(血清クレアチニン)が血液中にどれだけあるかを調べる。血清クレアチニン値と年齢、性別で推算GFR値(腎臓の働きの程度)が出せる。

血液検査や健康診断などで測定した血清クレアチニン値と、年齢、性別からあなたの腎臓の働きをチェックしてみましょう!

  1. 性別 男性は→図1へ 女性は→図2へ ※ 拡大図はこちらをクリックください。
  2. 縦軸にある自分の血清クレアチニン値を探しましょう
  3. 横軸にある年齢を探しましょう
  4. 自分の血清クレアチニン値と年齢が交わる所があなたのGFR値(腎臓の働きの程度)です。

いかがですか?1カ月に1回以上測って3カ月以上60%未満の値の方は、医師へ相談してみましょう。

日本大のGFR推算式(Crの3項目の式)による「推算GFR値」早見表

※ 拡大図はこちらをクリックください。

予防&治療

CKDにならないために、CKDの進行を抑えるために、まず重要な事は生活習慣の改善です。

生活習慣の改善

運動
適度な運動が重要です。血圧、蛋白尿、腎機能などの状態によって、運動量の調節が必要となる場合がありますので、医師の指示に従いましょう。
喫煙
喫煙は、CKDだけでなく、がんや動脈硬化など体に悪影響を及ぼします。 禁煙を心掛けましょう。
肥満の是正
適正な体重を維持しましょう。
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
飲酒
一般的な飲酒量は、アルコール量(エタノール量)として、男性で1日20~30ml(日本酒1合)以下。女性で1日10~20ml以下です。
食事

■減塩

体内の水分バランスを保つため、さらに高血圧の軽減を図るため、CKDの食事療法において「減塩」は特に重要です。1日の食塩摂取量を1日6g(小さじ1杯程度)未満にするようにしましょう。また、一般的な食品包装の裏には塩分量ではなくNa(ナトリウム)量が記載されていることが多いので注意しましょう。
塩分量の求め方→塩分量(g)=Na(mg)×2.54÷1000

■蛋白質の制限

蛋白質は体を作る大切な栄養素です。しかし、そこから出る老廃物を処理するために腎臓に負担がかかるため、制限が必要となる場合があります。

■カロリー摂取

エネルギーが不足すると筋肉の蛋白質が消費され、かえって老廃物が増えて腎臓に負担がかかります。しかし、過剰摂取による肥満もリスクとなりますので指示されたカロリーを摂りましょう。

1日のカロリー摂取の目安 30~35kcal/標準体重kg
糖尿病性腎症の方の目安 25~30kcal/標準体重kg

■カリウム制限

CKDが進行すると高カリウム血症を起こしやすくなります。高カリウム血症は、心臓に悪い影響を与えることからカリウム制限が必要となる場合があります。

生活習慣を改善していく上で、食事管理は重要です。何かお困りのことがありましたら医師や管理栄養士の方に相談しましょう。

CKDの治療 血圧、血糖、脂質などの日々の管理が重要となります。より良いCKDの治療のためには、患者さんご自身と、医師や医療スタッフが一緒になって治療に取り組んでいくことが重要です。何か少しでも気になる点があればご相談ください。

VOL.2:骨粗鬆症

骨粗鬆症

1.骨は生きている

骨は石のように硬い物質に見えますが、実は他の組織と同じような生きた細胞の集まりです。
骨の内部では、新しい骨細胞が古い骨細胞に置き換わっています。これを「骨代謝」といいます。 何かの原因で骨代謝のバランスが崩れると、新しい骨の形成を上回るスピードで古い骨の破壊(吸収)が進み、 骨の内部はすき間だらけになってしまいます。骨量が減少し、骨が変化してもろくなり、骨折しやすくなった状態を、骨粗鬆症といいます。

2.治療の目的は骨折を防ぐこと

☆高齢者の骨折は寝たきりにつながりやすい

骨粗鬆症では、脊椎の圧迫骨折(背骨を構成している椎体が押し潰されて骨折した状態)が起きて、腰痛や背中の痛みが起こることもありますが、それ以外は自覚症状がありません。しかし、症状がなくても骨は徐々に弱くなっていて、骨折しやすくなります。脊椎の圧迫骨折以外に、大腿骨頸部(足の付け根)や手首、腕の骨折が多く見られます。
なかでも大腿骨頸部の骨折が大きな問題です。治療には数カ月かかりますし、体力が低下したり、認知症が進行したり、寝たきりになること、車いすが必要になることもあります。

☆骨だけでなく、内臓にも悪影響が

脊椎の圧迫骨折では、腰や背中が曲がったり身長が縮んだりします。これらは老化現象のひとつであると考えがちですが、決してそうではありません。内臓にも影響し、呼吸機能の低下、逆流性食道炎、消化管運動の低下による便秘、腸閉塞などを起こし、快適な生活が損なわれます。

3.どんな人が骨粗鬆症になりやすいのでしょう

骨粗鬆症の大きな原因は、骨代謝に異常が起き、骨の形成と破壊のバランスが崩れることです。加齢とともに誰でも少しずつ骨代謝機能が乱れて、いくらか骨量が減ってきますが、それ以外に次のようなことが骨粗鬆症の原因になります。

  • カルシウムの摂取量が少ない人
  • 運動不足の人
  • 閉経後の女性
  • 最大骨量が少ない人
  • 骨粗鬆症を促す薬を飲んでいる人
  • 血縁者に骨粗鬆症の人がいる人
  • 体重の軽いやせた人
  • 糖尿病のある人
  • 消化器疾患のある人
  • 飲酒、喫煙のある人

4.骨を丈夫にして骨折を防ぐ暮らしのアドバイス

☆食事で気をつけること

カルシウム、ビタミンD・Kを十分に摂ることが第一です。日本人のカルシウム摂取量は1日500mg台ですが、所要量は600mg、骨粗鬆症の予防には800mgが必要です。 骨の材料になるカルシウムを十分に摂る事が大切です。
なお、カルシウムは単独で食べてもほとんど吸収されません。腸でのカルシウムの吸収にはビタミンDの働きが必要です。ビタミンDには、カルシウムを骨に取り込む作用もあります。 ビタミンKにも骨代謝を改善する作用があります。

インスタント食品は一般にリンを多く含みますが、リンは骨破壊を促す副甲状腺ホルモンの分泌を促進したり、カルシウムの排泄を増やしたりして、骨量減少を招きます。
また、塩分、アルコール、コーヒー、煙草は控え目にしてください。過度に摂ると、骨量減少につながります。インスタント食品はできるだけ控えてください。

☆からだを動かして骨に刺激を与えましょう

適度な運動は骨形成を活発にします。継続して運動することが大切です。
無理な運動をして転んだりしないよう、自分の体力・健康状態に合った軽い運動を続けましょう。

☆日光浴をしましょう

カルシウムの吸収に必要なビタミンDは、日光浴で作られます。皮下脂肪にはビタミンDになる前の物質があり、日光の紫外線を浴びることによりビタミンDに変化します。ただし、日焼けするほど日光浴をする必要はありません。木漏れ日程度の日差しの下、散歩をしてみてください。

5.骨粗鬆症の薬

現在、国内ではカルシウム製剤、ビタミンD・K製剤、ビスフォスフォネート系製剤、エストロゲン製剤など、いろいろなタイプの薬が使用できます。個々の患者さんの骨粗鬆症の原因や、骨折の有無、合併症の有無などを考慮して処方します。ぜひご相談してください。

VOL.1:家庭血圧測定をしましょう!

はじめに

2014年4月に、高血圧治療ガイドラインでも家庭血圧測定が注目されています。
日本でも日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン(JSH2004)において厳格な血圧管理に加え家庭血圧の重要性が強調され測定条件が示されています。

家庭血圧の分類と測定条件

分類
高血圧:135/85mmHg以上
正常血圧:135/85mmHg未満
測定条件
朝:起床後1時間以内
夜:就床前

外来血圧と家庭血圧

「外来血圧が正常だから安心だ」と思われている患者さんもいるかも知れません。しかし、外来血圧が正常で家庭血圧・24時間血圧が高値を示す(仮面高血圧と呼ぶ)患者さんの予後を観測した試験において仮面高血圧は心血管系疾患発症の高リスク集団であることが示されています。特に仮面高血圧患者さんの中で注目を浴びているのが早朝時家庭血圧で高い値を示す早朝高血圧です。心筋梗塞や脳卒中などの脳・心血管系事故は早朝から午前中にかけて発症することが知られており、早朝血圧との関係が指摘されています。

早朝高血圧の治療

高血圧治療ガイドライン2004では早朝高血圧の治療において、より半減期(薬剤の血中濃度がピーク時から半分になるまでの時間で薬剤間のばらつきがある)が長く、降圧の作用が朝まで持続することが重要であると記載されています。薬剤については相談してください。